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個人で飲食店を開業する際に小規模店の場合は、だいたい初期費用として900~2000万円くらいが目安とされています。お店の改装や機器類の資材のほか施工する業者さんの人件費など年々高騰しており、それに伴って開業にかかる費用もどんどん上がっているのが現状です。
それでは、出店するのにどのくらいの費用がかかるのか?それはもちろん、お店の業態や規模、物件の状態、出店場所によって金額が変わります。
飲食店開業費用シミュレーション
そこで、飲食店を開業する際にかかる費用の大きなものに次の2つがありますので着目してみましょう。
- 物件取得にかかる費用
- 店舗設備投資にかかる費用
この2つについて解説していきます。

1.物件取得にかかる費用
物件を借りる時の大きな費用の一つが保証金(敷金)です。
一般の居住用物件と違って賃料の●●ヶ月分と条件が設定されています。首都圏の場合ですと、“賃料10ヶ月分”というのは珍しいことではありません。例えば、賃料月額20万円の物件を借りようとすると、賃料10ヶ月分に相当する200万円を保証金として用意する必要があるということになります。
また、近年では“居抜き物件”で貸し出す店舗が増えて一般化しました。これは、前の店舗(テナント)の内装や設備・什器備品類などをそのまま譲り受けた状態で店舗を借りるというケースです。当然、前の借主に対して、内装・設備・什器備品類などを譲ってもらうのに引き換えで代金を支払わなければなりません。譲渡金額は内装や什器備品類の状態、経過年数などによって前の店舗(テナント)側から条件が決められており、数十万円~数百万円と様々です。店舗の仲介会社(不動産業者)が関わっている場合は手数料を負担しなければならない場合があります。
ここで、“居抜き物件”の落とし穴について解説します。
“居抜き物件”の仕組みは、前述のように店舗設備・備品を次のテナントへ譲渡販売する訳ですから、物件内見の際に特に注意して厨房機器の製造年月日や厨房メーカーをチェックしておく必要があります。いわゆる“中古品”に当たるため、故障して修理を依頼した時に製造年数が古いと製造中止になっているなど交換部品が無い、つまり機器ごと買い替えをしないといけなくなって大きな出費が発生してしまう可能性があるためです。またその機器を製造したメーカーが聞いたことが無いような会社の場合は、修理の際に特約店が近くに無いがために出張費がかさんでしまうようなことも起きてしまいます。海外製品などの安価なものも特に注意が必要です。もう一つ、居抜き物件で気をつけておかないといけない事が、リース製品が残っているケースです。原則、リース製品というのは前の店舗(テナント)が退去する際に精算しなければならないものですが、リース製品を引き継ぐことが居抜き譲渡の条件に入っていると、買取金額が思いのほか膨らむ、あるいは毎月のリース料の出費が発生する、ということになるため、そうなると開業・資金・収支計画をそれぞれ修正する必要性が発生します。
その他、物件取得にかかる費用には、礼金(主に首都圏で家主に対して支払う費用)、前家賃(原則、賃料は前払いのため、契約締結時に支払う費用・およそ賃料1ヶ月分)、仲介手数料(物件の仲介をした不動産業者へ支払う費用・法律で賃料1ヶ月分と定義されている)などがあります。
2.店舗設備投資にかかる費用
設備投資にかかる費用で大きなものが、厨房機器、看板製作、内外装工事、店舗備品(食器・調理道具・レジスターまたは券売機・ユニフォーム等)です。居抜き物件の場合は、一部の厨房機器と内外装をそのまま活用できるため、投資額を抑えることができます。
それぞれ具体的な金額はお考えのお店の業種・業態、店舗物件の条件などによって大きく異なるため一概には言えませんが、物件取得費を除いて内外装工事と厨房機器で店舗区画1坪あたり50万円~150万円くらいが相場だと言われています。例えば20坪30席くらいのお店の場合で1000万円~3000万円ほどかかるということです。但し、居抜き物件を活用することで、投資額をもう少し抑えることも可能です。
また、開店後の運転資金を用意することも考えなければなりません。運転資金は赤字を補填するための資金のことです。お店がオープンしてお店の存在を知ってもらうまでに相当の時間がかかることも想定しておかなければなりません。経営が軌道に乗る=利益が出るようになるまで経費はどうしても発生してしまうため、その費用を補うことを想定しておかないと気づいた時には支払いができない状態に陥ることになりかねません。初めての開業で一番陥りやすい想定外のことが資金不足です。失敗しないための資金計画の基本は、下調べに手抜きをしないことです。お金のかかることは全て書き出し、その一つ一つの項目をよく確認を取り、トータルでどれだけの投資になるかを細かく積み算していくことが大切です。
ここまで、飲食店開業時にかかる費用について解説してきましたが、開業することを最終目的にしてはいけません。開業した時が経営のスタートです。作ったお店で、これから売上・利益を産み出して行くことを強く認識しなければなりません。それはつまり、飲食店開業後に経営で失敗してしまう方の共通点に、必要な部分に対して投資を惜しんでしまうことが挙げられます。当然ながら、投資額を抑えることは大切です。お客様を呼べるか否かは大部分が店舗力で決まります。不必要な投資を抑えることは大事ですが、新規客を呼ぶためのお店の店頭や看板製作に費用をかけなかったり、メニューブックを作らなかったり、厨房機器を中古品で揃えて数ヶ月後に故障してしまうなど、本当に必要な箇所の投資を惜しんで、私たちコロンブスのたまごに後々でご相談されるケースがよくあります。
必要なところにはしっかり投資をして、費用を抑えるところは抑える、というようにメリハリのある投資をすることがお客様に支持されることになり、結果として投資回収も早くでき、長く愛されるお店、繁盛継続の秘訣と言えます。



