物件の見方
今回は飲食店開業には避けて通れない物件探しのための基礎編です。まずは不動産を探す前に、不動産用語と基礎知識について理解しましょう。下記に不動産用語と基礎知識を羅列しましたので、参考にしてください。
不動産用語
◆ 保証金
借りる側(賃借人)が貸主側(賃貸人)に、賃貸借契約の時に預け入れするお金。 解約時には一括で返済されるのが一般的である。保証金という方式は、高額な建設資金を捻出するために、借り主側に協力を求める建設協力金の発想で使われだした方法である。借り主側の不利益を避けるための、権利を保全する性格が強い。
◆ 敷金
賃借人が賃貸人に、賃貸借契約をする時に預けるお金。解約時には返却される。保証金と違う点は、敷金は賃料を滞納した場合にその賃料分に充てたり、解約時に借りる前の状態に原状回復するための費用に当てたりする事が多く、貸主側の保全の性格が強い。しかし最近は敷金の代わりに保証金を預ける場合も多く、また敷金と保証金の両方を預けるものもある。
◆ 造作譲渡料
最近の店舗の賃貸借契約では、賃貸権や営業権だけの譲渡がほとんど認められていない。 そのため、せっかく高い内装工事をしても、解約すれば無駄になってしまう可能性もあり、そこで考え出されたのが造作譲渡である。これは店舗の造作や備品を、賃借人の承諾を得て、新たな賃借人に売り渡す費用のことで、いわゆる居抜き店舗の賃貸借の際に見られるものである。譲渡する側は、すべての造作、備品を譲渡しなくともよく、自分の譲渡したいものだけを譲渡すればよい。
◆ 権利金
不動産の賃貸借における権利金とは、その物件の賃貸権を買うお金の事で、第3者に売 買できる。元の売り手に権利を返して権利金が返却されるということは原則的にはない。最近の店舗の賃貸借契約では、賃貸借の権利だけを売買することはほとんどない。
◆ 礼金
お礼として賃借人から賃貸人に払うお金で、返却されないお金。敷金や保証金と同時に 支払われることがほとんどだが、入居者の減少などによって礼金を不要とするケースも出てきている。
◆ 名義書き換え料(名義変更料)
造作譲渡を行った場合、造作備品を売った側が賃貸人(大家側)に支払うお金のこと。つまり、新たな賃貸人に造作譲渡して出て行く者が、賃貸人に支払うもので、譲り受ける側の者が払うものではない。金額は譲渡代金の何%と決める場合が多い。
◆ 管理費・共益費
入居者全員が、建物の維持管理のために負担する費用。管理費も共益費も同じ意味合いのものであるが、所有者が一人の建物の場合に共益費と呼ぶケースが多い。エレベーターの保守費用、通路の電気など共同使用、共有部分の維持管理のための ものである。
◆ 更新料
賃借の契約期間満了後も、継続して賃借する場合に賃借人が賃貸人に払うお金。契約を更新してもらうためのお礼と言える。特に決まった金額はないが、新しい賃料の1~2か月分を支払うことが多い。
◆ 償却
預け入れしてある保証金が、解約時に返金される際に減って戻ることで、この減る部分 のことが償却と言われる。これは物件の現状復帰費用などの実費ではなく、契約時にその額のことも保証金の何%などと決められる。償却方法は特に決まっていない。また中には、その償却分をその都度補充することを義務づけている場合もある。
◆ 手数料
不動産業者への仲介手数料。不動産業者を通して不動産の売買や賃貸契約を行った場合 にその不動産業者に支払う手数料で、額は宅地建物取引業法に定められている。 売買の場合は売り主、買い主双方が売買総額の3%プラス6万円をそれぞれ不動産業者に支払う。(ただし売買価格が400万円以下の場合は、200万円までは5%、200万円を超えるものは4%)賃貸の場合は月額賃料の0.5ヶ月分を借り主、貸し主がそれぞれ払う事となっているが、借り主側から1ヶ月分受領し、貸し主側から受領しないところが多い。
◆ 修繕積立金
マンションなどの区分所有の建物で、将来の修理、修繕に備えて毎月積み立てをするこ と。年々老朽化する建物を、将来一度に修理・修繕費用を負担するのは大変なので、区分所有者全員が毎月そのための費用として積み立てておくもの。
不動産基礎知識
◆ 賃貸借契約
賃貸におけるお互いの約束事項を、民法に基づいて作成し書面化するもので、どちらか 一方にだけ有利、不利があるというものではない。非常に大切なことが取り決められ、記載されているので、すべてをよく読み理解した上で、署名捺印をしなければならない。 店舗の契約の場合は営業業種が決められるので特に注意をしなければならない。
◆ 店舗の賃貸借契約で特に重要なチェック点
1.物件の場所、所在地を確認
2.契約する物件の大きさ、内、外装等の確認
3.契約期間がいつからいつまでか確認する
4.家賃以外にもかかる費用の確認。(敷金・手数料・共益費 etc.)
5.更新の際の手続き方法、費用
6.解約する際の手続き方法、費用の精算方法
7.営業業種の確認
8.特記事項、特約事項の確認
◆ 売買契約
物品の売買と同じであるが、不動産の場合はその文字ごとく物自体が動かないので、い わゆる所有権の移動を、売買契約に伴い行うこととなる。その際、金額が高額であるため、一般的には契約時に手付金を支払い、残りの残金を支払ったときに所有権を移転するという方式がほとんどです。
◆ 不動産売買契約時のチェックポイント
1.物件の場所、所在地の確認(通常の住所表示以外に地番も表示される)
2.物件の大きさ、内外装、構造、土地の地目(宅地、山林等状況)などを確認
3.正式な所有者、抵当権、現況の確認
4.代金の支払方法、金額などの費用の確認
5.引渡し方法、義務、権利の内容。義務不履行の場合の罰則の確認
◆ 造作譲渡契約
店舗の場合は、内部にその店舗用の造作がほどこしてあり、備品がある。この造作と備品を売買するのが造作譲渡。造作譲渡は、あくまで前の賃借人と新しい賃借人との間で行うもので、賃貸借契約とは別のもの。 ただ、賃貸借契約を結ぶと賃借権が発生するので、あえて造作譲渡契約書類を作成しない場合もある。造作備品の細かい内容を注意する必要があり、使用可能なのか数量が足りているのかなど細かくチェックすることが大切。