居酒屋を開業したいけれど、何から始めればいいかわからない。
現在人気店を経営している成功者でも、開業当初は同じ悩みを抱えていました。
この記事では、資金相場や開業方法の手続きなどについて解説します。
読了後は、資格・店舗物件に関する知識や内装・コンセプトの選び方まで理解できるでしょう。
居酒屋開業の失敗例も含めて紹介するので、成功につながるはずです。
居酒屋の開業に必要な資金
居酒屋開業には、初期費用(物件取得費や内装・外装工事など)と運転資金(6か月分〜)の合計で、約600〜1500万円の資金が必要です。(※こちらは一例です。)
居酒屋はほかの営業形態と比較すると、厨房設備の準備費用が高額になるため、余裕を持った経営が求められます。
費用の内訳は以下の通りです。
①初期費用
・物件取得費 200万円〜300万円
・内装・外装工事 10万円〜80万円(居抜き:10万円〜50万円、スケルトン:20万円〜80万円)
・厨房設備工事 新品:200万円〜300万円、中古:70万円〜200万円
・その他設備工事 10万円〜20万円
②運転資金(6か月分)
・賃料 120万円(1か月の家賃が20万円の場合)
・光熱費 10万円程度
・人件費 200万円程度
・食材費 200万円程度
・広告宣伝費 10万円程度
居抜き物件を選ぶ場合は工事費を削減できるので、平均値よりも費用を抑えられるでしょう。
なお、長期にわたって経営するために、利益が安定するまでの運転資金はカットしないほうがベターです。
内装・偽装工事をDIYで補ったり、食器を安価な商品に変更したりして、その分初期費用をコストダウンしましょう。
いくらかかるのか、事前に細かく計算しておくことが必要です。
居酒屋の開業方法・流れ
居酒屋を開業するには、いったいどんな手順が必要なのでしょうか。
大きく6つのステップに分けて、居酒屋開業の流れをご説明します。
|必要な資格・許可
居酒屋開業には、「食品衛生責任者」「防火管理者(施設の収容人数が30人以上の場合)」といった2種類の資格と、「飲食店営業許可」の認可が必要です。準備ができ次第、早めに手続きを行いましょう。
・食品衛生責任者
「食品衛生責任者」とは、食品衛生管理を行う資格です。
食品の調理・加工を行う施設1件につき、最低でも1人は設置しなければなりません。
約6時間の講義とテストを受講すると、受講修了証が交付されます。
1日で資格が取得できるため、早めに受講しましょう。
なお、調理師や栄養士などの免許保持者は、講義を受講しなくても資格が取得できます。
有効期限はありません。
・防火管理者
「防火管理者」とは、収容人数が30人(従業員含む)を超える施設の防火管理を行う資格です。
延べ面積が300㎡未満の場合は乙種、300㎡以上の場合は甲種に区分されます。
甲種は約10時間(2日間)、乙種は約5時間(1日間)の講習を受けなければなりません。
有効期限があるため、随時更新が必要です。
・飲食店営業許可
飲食店の開業には、保健所から取得する「飲食店営業許可」が必要です。
店舗が完成する約10日前には届出を出し、申請手続きを行いましょう。
保健所による施設検査を受けたあとに、営業許可証が発行されます。
有効期限があるため、随時更新が必要です。
|事業計画書の作成
居酒屋のコンセプト説明や利益性について説明した事業計画書を作成します。
金融機関から融資を受ける際に、提出を求められるためです。
余裕を持って準備を行えるように、開業日の3か月前には完成させてください。
事業計画書作成時は、「データに基づいて資金計画を立てること」に気をつけましょう。
信頼のおける事業計画書には、売上高の算出や収支計画の作成が必須だからです。
スムーズに融資を受けるためにも、個人の推測ではない、具体性が求められます。
|物件探し
立地や延べ面積など、自分の理想と合致するような物件を探します。
インターネットや不動産会社を通して内見を申し込み、入居手続きや審査を行う流れは、一般の住宅と変わりません。
立地に関しては、店舗のコンセプトによって決め方が変わります。
隠れ家的居酒屋ならアクセスが少々悪い場所でも問題ありませんが、立ち飲み屋などなら、人通りが多い繁華街がおすすめです。
・飲食店経営可能か(業務形態によっては営業不可能な場合もあり)
・賃料が売上の約10%以内か
・周りに競合店が営業していないか
上記の3点に気をつけて、理想的な物件を探しましょう。
|店舗設計
物件が決まったら、内装・外装の店舗設計を進めていきます。
重要なポイントは、「費用面を考慮し、コストダウンすること」と「ターゲット層を絞ること」です。
安価な素材で対応できる部分やDIY可能な部分は、臨機応変に変更しましょう。
内装や外装にこだわり始めると、終わりがないからです。
「店舗周辺に勤務するサラリーマン客を見込んだ店」「カップルで来店しやすい雰囲気の店」など、特定のターゲット層に合った店舗デザインも意識してください。
問題なくオペレーションが進められるように、動線の確認も必須です。
複数の施工会社に相見積もりをとり、予算内の金額でデザイン通りに施工可能な会社を選びましょう。
|メニュー考案
ターゲット層に合ったメニューやお酒を考案・開発します。
原価や提供時間を考慮しつつ、実現可能なメニューにブラッシュアップしてください。
メニューによって、適した物件内容や事業計画書も変わってくるため、ほかの業務と並行しながら行いましょう。
メニュー考案時は、「店舗のコンセプトに合致すること」に気をつけるべきです。
大衆向け居酒屋を企画しているにもかかわらず、高級志向のメニューが複数存在していたら、お客さんは違和感を覚えるでしょう。
店舗の看板を背負うことを意識して、メニューを考案してください。
|広告宣伝
開業日が決まったら、集客のために広告宣伝を行います。
営業時間や場所、アクセス、代表メニューなどを紹介してください。
・プレスリリース配信
・SNS広告(Instagram、Twitter、Facebook、TikTok、LINEなど)
・グルメサイト掲載(ホットペッパーグルメ、ぐるなび、Rettyなど)
上記のような、オンライン宣伝の利用がおすすめです。
店舗のコンセプトや雰囲気が伝わるような内容になるよう、業者とよく相談しましょう。
地域に密接した店舗の場合は、ポスティングチラシや新聞の折込チラシを使用する方法もあります。
店舗のタイプにあわせて、適した広告手法を厳選しましょう。
フランチャイズでの居酒屋開業を考えている方はこちらもご覧ください。
【居酒屋開業】成功の秘訣とよくある失敗例
居酒屋開業で成功するには、いくつかの秘訣があります。
多くの人がやりがちな失敗例も一緒に紹介するので、参考にしてください。
|プレオープンで成功率を上げる
開業が成功するかどうかは、プレオープンの内容でほぼ決まります。
適切なオペレーション確認ができていれば、オープン前にサービスを改善できるからです。
友人や知人に協力してもらい、無料〜半額でメニューやお酒を提供します。
提供時間や配膳の丁寧さ、接客内容などについてアドバイスをもらい、随時ブラッシュアップしながらオペレーションを繰り返していきます。
重要なポイントは、「オープン後を見越したオーダーを依頼すること」です。
特定のメニューのみで実施すると、本番の予行演習になりません。
実際の営業時と同じ材料を用意しておき、好きなメニューを選んでもらいましょう。
|リスク回避には、人手の確保が必須
常に一定数以上の従業員を確保できている状態が、飲食店営業の理想です。
人手不足が続くと、オペレーションがうまく回らなくなり、客離れのリスクが高まります。
安定した接客ができるように、アルバイト募集サービスや求人掲載サービスを複数調査しておきましょう。
また、在籍中の従業員が長期間働いてくれるように、ストレスなく働ける労働環境を提供することも求められます。
人手不足に悩まず、問題なく営業できる状態を、維持するようにしましょう。
|失敗例体験談① 店舗のコンセプトがあいまい
ここでは、居酒屋開業で失敗した体験談をご紹介します。
Aさんの失敗理由は、「店舗のコンセプトを明確化しなかったこと」でした。
地元の高級食材を使った豪華な料理を出す一方で、サラリーマン向けにフライドポテトや唐揚げなどの手頃なおつまみメニューも提供していたといいます。
ターゲット層があいまいなまま営業を続けた結果、リピーターを作ることができず、短期間での閉店に追い込まれてしまいました。
立地のニーズに合ったコンセプトを明確化し、メニューや内装・外装、広告などをしっかりと決めましょう。
人気店の模倣ではない、店舗独自のオリジナリティも必要です。
|失敗例体験談② 接客スキル不足
Bさんは、自慢の割烹料理が味わえる居酒屋をオープンしましたが、長続きしませんでした。
失敗理由は、「接客内容にまで気が配れなかったこと」です。
提供する料理やお酒は高品質でしたが、提供スピードや言葉遣いなどについてクレームをもらうことが多かったといいます。
「料理がおいしければ繁盛するはず」と接客内容を改善しないまま放置し、売上が低迷しました。
販促や集客に関する知識も乏しかったため、経営は持ち直せなかったそうです。
居酒屋の売上を安定させるには、接客も含めた居心地の良さが欠かせません。
料理の味と同じくらい、接客スキルの向上にも尽力しましょう。
失敗を未然に防ぎたい方は、飲食店開業セミナーへのご参加もおすすめします。
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居酒屋の開業を検討している方へ
居酒屋開業で成功するためには、事前に関連知識をよく学ぶことが必要です。
初期費用と運転資金をあわせた開業資金を計算し、資格取得など開業前の手順を漏れなく行いましょう。
お客さんに求められているものをきちんと汲み取って営業にいかせるよう、充実した準備を進めてください。
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初心者でも、独立開業に関する丁寧なサポートが受けられます。
気になる方は、ぜひお電話やメールからお問い合わせください。