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飲食店の開業時にかかる投資で一番大きな費用が店舗の改装(内装・外装)工事費です。改装工事費は物件の状態によって2つの場合に分けられます。1つは「スケルトン物件」と言って、床・天井・内装などが何もない建物の躯体だけの状態で物件を取得して一から工事をする場合です。もう一つは「居抜き物件」と言って、もともと飲食店として利用されていた厨房設備や店舗の造作物ごと物件を取得して、そこに手直しを加える場合です。
●スケルトン物件の場合の工事費用
スケルトン状態で一から飲食店舗を作るのに、1坪あたり100万円前後の費用がかかると言われています。お店がどのような業態で、どんなメニューを提供するのか、内装にどこまでのグレードを求めるのか、によって金額が大きく上回る可能性がありますが、あくまでも一つの目安の数字です。
スケルトン物件で特に気をつけなければならない点が、飲食店向けに賃貸されていない物件、いわゆる事務所・オフィス向けの物件のケースです。このような物件の場合ですと、水道配管工事(給水と排水)、電気工事(増設や容量変更)、ガス配管工事、空調工事(排気と吸気)といった飲食店に適合させるための設備工事が一番大きな費用が掛かってしまいます。物件がいくら自店の希望する好立地だったとしても、こうした点に気をつけておかないと、慌てて物件契約してしまった後で思いのほか費用が嵩んでしまう、ということになりかねません。
●居抜き物件の場合の工事費用
最近では、居抜き物件を活用した新規出店がよく見受けられます。居抜き物件の活用は、前のテナントのまま使える場合にスケルトン物件よりも費用を安く抑えられること、そして工事の期間が短くて済むので早くオープンが迎えられることが最大のメリットです。壁紙を張り替える程度で済めば費用は数十万円程度に抑えることもできます。但し、排気ダクトが壊れていたり、防水設備が機能していなかったり、と色々と不具合が出てくるケースがあります。また、厨房機器は中古品として引き継ぐものですから、開店時は順調に作動していたとしても開店後に不具合が出てくる可能性も高いと言えます。その場合はそれらの修繕・交換費用が発生することも念頭に置いておかなければなりません。居抜き物件を取得する場合には前のテナント設備を引き継ぐため、その対価として「造作譲渡費用」が発生するのが一般的です。工事費とは別に発生する費用があることも考えておきましょう。
居抜き物件の活用は低投資で飲食店を開業できるメリットがありますが、逆にデメリットもあります。あらかじめ確認しておきましょう。
※居抜き物件活用の注意点
関連するよくある質問:居抜き物件で飲食店を開業したいと思っています。居抜き物件を借りる時に何か注意することはありますか?
このように、居抜き物件を活用する際は物件の選定が重要です。特に防水、給排水、排気に関する設備がそのまま使えるのかどうかによって工事費が大きく変わります。そのようなことは専門家でないと判断できません。具体的には現状の店舗の状況を確認した上で、設計施工業者に見てもらう必要があります。物件を選ぶ段階で工事費がどの程度になるかを算出し判断基準にします。
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